家族カウンセリングの必要性

 宗教トラブル相談センターには、宗教内で起きた問題を解決するために、全国各地から相談が寄せられる。家族の誰かが入信したため、家族が崩壊することもある。財産を宗教につぎ込んで、家族が困り果てることもある。夫を失う。妻を失う。子どもを失う。それは、自死であったり、他殺だったり、病死だったり、このような物理的な死だけではなく、関係性の死もある。音信不通、所在地不明である。どれほど家族が苦しむことか。家族を失った、財産を失った、人間関係を失った、この大きな喪失感、やがてこの原因を作った宗教に対する怒りは、入信した人に、勧誘した人に、宗教の責任者に、宗教施設に向けられる。宗教施設に火をつけに行きます。責任者を刺して自分も死にます。子どもを殺して自分も死にます。一家心中をします。怒りが正しい方向を向いていないと、不満がたまり、感情を抑制できなくなったり、気分転換が出来なくて塞ぎこんだりする。鬱はよくある。宗教に家族の誰かが入信したために、家族が大変な状態になったとき、入信した者をカウンセリングして脱会させてほしいと依頼があったりするが、まず、必要なのは家族のカウンセリングである。家族の宗教問題で悩んでいるとなかなか他の人に相談できない。また、専門家でもない人に相談しても、見当違いのアドバイスを受けたりして、一層困難な状態になることもある。それぞれの分野にはそれぞれの専門家がいる。しっかり、評価されている人を選び、まずは、自分たちの心の持ち方、取り組み方、話し方などを学ぶ方がよい。時には、カウンセリングを受けるのもよい。


 ある所で、入信した娘さんに話をしたことがある。うまくいったので良かったが、もし失敗していたら、娘を刺して自分も死のうと思っていました。父親から研がれた漁師ナイフを見せられたことがある。


 先生、もう少し早く先生を知っていたら、夫は自死しなくて済んだと思います。宗教指導者に苛められ、疎外され、悪者扱いされ、自死いたしました。このようなことは何度もある。


 宗教は人々に幸福をもたらすものである。しかし、不幸をまき散らしている宗教団体もある。個人が宗教団体とどのようにして取り組んだらよいか、始めから分かっている人はいない。分かっている人と法に触れない取り組みで解決に向かって道を歩むしか方法はない。自分の限界を知り、専門家と助け合い、話し合い、共に歩むことで心が守られ、思いつめることから解放される。

アッセンブリー京都教会・宗教トラブル相談センター

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